実物のデザインシステム
理屈を読むより、動いているものを見るほうが早い場面があります。公開されているデザインシステムを、公開の深さと目的で分けて並べました。
図の中身を文字で読む
- 公開されているものは、どこまで見せているかが違う。目的に合うものを見る
- 考え方まで Material Design Human Interface Guidelines GOV.UK デジタル庁 U.S. Web Design System
- なぜそう決めたかが書いてある 判断の根拠を学ぶときに読む。部品の使い方より、なぜその形かが書いてある
- 部品と実装まで Carbon Polaris Atlassian Primer Lightning Spectrum Fluent Backpack Pajamas
- コードが手に入る 部品の粒度や状態の持たせ方を、実物で確かめられる
- 日本語で読める デジタル庁 SmartHR Spindle(Ameba) Vibes(freee)
- 和文の組版に触れている 和文の行間・約物・書体の扱いが書いてある。海外のものには無い部分
- 土台だけ
- 見た目を持たない Radix UI shadcn/ui
- 操作とアクセシビリティだけを提供する。見た目は自分で決める
- 見るときの順
- 1. 自分の案件に近い規模と業種のものを1つ選ぶ 丸ごと真似ない。規模も体制も違う
- 2. トークンの名前の付け方を見る。値ではなく役割で名付けているか 大企業のものは、大きな組織で回すための重さを含む
- 3. 同じ部品(ボタン・入力欄)を2つのシステムで見比べ、判断が分かれる箇所を探す 小さな案件には、その重さは要らない
雰囲気で見る#
同じ架空の予約画面を、それぞれのシステムのトークン(色・角丸・影・密度)で組み直しました。押すとその詳細へ移ります。公式サイトの画面ではありません。
プラットフォーム3 件
企業のプロダクト向け10 件
公共4 件
日本語3 件
土台だけ2 件
同じ「デザインシステム」でも、公開している深さが違います。考え方まで書いてあるもの、部品とコードまで出しているもの、土台だけを提供するもの。目的に合うものを見ます。
プラットフォームのもの#
作り手がもっとも多く、判断の根拠まで書かれています。
| 名前 | 作っている組織 | 特徴 |
|---|---|---|
| Material Design 3 | 1つの基準色から色を機械的に生成する仕組みが特徴。トークンの命名と役割分けの見本になる | |
| Human Interface Guidelines | Apple | 部品の仕様より、なぜその形かの説明が厚い。プラットフォームごとの作法の違いが読める |
| Fluent 2 | Microsoft | Web、Windows、iOS、Android を横断して同じ考え方を通す構成。業務システム向けの部品が充実 |
企業のプロダクト向け#
自社製品のために作られたもので、部品と実装コードまで公開されています。
| 名前 | 作っている組織 | 特徴 |
|---|---|---|
| Carbon | IBM | 情報密度の高い業務画面向け。データテーブルやグラフの扱いが厚い。角丸を使わない硬い造形 |
| Polaris | Shopify | 管理画面に特化。文言の書き方(コンテンツガイドライン)が具体的で、UXライティングの参考になる |
| Atlassian Design System | Atlassian | 部品の数が多く、状態の持たせ方が細かい。トークンの階層設計が読みやすい |
| Primer | GitHub | 開発者向けの画面。文字が主体で密度が高く、色数を抑えた構成。CSS の設計思想が公開されている |
| Lightning Design System | Salesforce | 大規模な業務システム向け。アクセシビリティの記述が厚い |
| Spectrum | Adobe | 制作ツール向け。暗い画面での色の扱いと、細かな操作部品の設計が参考になる |
| Backpack | Skyscanner | 旅行予約向け。日付や価格など、実データの見せ方の例が多い |
| Pajamas | GitLab | すべてが公開されており、決定の経緯まで追える。運用の進め方の参考になる |
| Geist | Vercel | 開発者向けの静かな造形。無彩色と1px の罫線で組む型の見本 |
| Nord | Nordhealth | 医療向け。誤操作が起きにくい設計と、状態の伝え方に重きが置かれている |
公共のもの#
読み手を選べない前提で作られているので、アクセシビリティと平易さの基準として役立ちます。
| 名前 | 作っている組織 | 特徴 |
|---|---|---|
| デジタル庁デザインシステム | デジタル庁 | 日本語。和文の組版と、行政サービスに特有のデザインスタイルが扱われている |
| GOV.UK Design System | イギリス政府 | 実際の利用者調査に基づく判断が書かれている。「なぜこの形か」の書き方の手本 |
| U.S. Web Design System | アメリカ政府 | 部品ごとにアクセシビリティの要件が添えられている |
| BBC GEL | BBC | 放送局。文字、映像、音声を横断する設計。書体の扱いが厚い |
日本語のもの#
和文の組版に触れていることが、海外のものにはない価値です。行間、約物、書体の選び方が、日本語を前提に書かれています。
| 名前 | 作っている組織 | 特徴 |
|---|---|---|
| デジタル庁デザインシステム | デジタル庁 | 日本語書体の指定と、行政文書の言い回しの基準 |
| SmartHR Design System | SmartHR | 業務システム向け。文言のガイドラインが具体的で、敬語の扱いまで踏み込んでいる |
| Spindle | サイバーエージェント(Ameba) | 消費者向けサービス。アクセシビリティの取り組みが詳しく公開されている |
| Vibes | freee | 会計サービス向け。数字と表の見せ方、業務画面の設計が参考になる |
土台だけを提供するもの#
見た目を持たず、操作とアクセシビリティだけを引き受けます。自分でデザインを載せる前提のものです。
| 名前 | 何を提供するか |
|---|---|
| Radix UI | キー操作、フォーカス管理、ARIA を実装した部品。見た目はいっさい持たない |
| shadcn/ui | Radix の上に最小限の見た目を載せたもの。コードを自分のリポジトリに取り込んで改造する形式 |
どう見るか#
- 自分の案件に近い規模と業種のものを1つ選ぶ。 全部を見ようとしない
- トークンの名前の付け方を見る。 値ではなく役割で名付けているか
- 同じ部品を2つのシステムで見比べる。 判断が分かれる箇所が、その部品の難しいところ
間違えやすいところ#
- 丸ごとまねる規模も体制も違う。大企業のものは、大きな組織で回すための重さを含んでいる
- 部品の見た目だけを写す名前の付け方と分け方が本体。見た目は結果
- 網羅を目指す使う部品だけあればよい。作った部品が使われないほうが損失が大きい
- 最初から作り込む同じ形が3回出てから部品にする





















