ブランドの構成
ブランドは作れません。作れるのは、そう思われるための接点だけです。同じ接点を何度も見せることでしか、積み上がりません。
図の中身を文字で読む
- 送り手が作れるのは左側だけ。ブランドは受け手の中にできる。
- 送り手が作るもの 受け手の中にできるもの
- ブランドアイデンティティ 何者であろうとするか。約束と人格 ブランド
- 接点の反復 「あそこは、こういうところだ」という記憶と期待
- ビジュアルアイデンティティ 直接は作れない。作れるのは、そう思われるための接点だけ
- ロゴ・色・書体・写真・声。見える部分 サイト・名刺 同じものを何度も見せることでしか積み上がらない
- 店頭・応対
- ブランドガイドライン 誰が作っても同じになるための規則 1回の逸脱で、それまでの反復が薄まる
- タグライン=名前だけでは伝わらない一言を足すもの
- 社名の隣に置く短い文。何をする会社か、誰のためか、どう違うかのいずれかを1つだけ言う。
- 3つ全部を詰めた長い文は、どれも伝わらない。抽象的な形容だけの一言は、他社に差し替えても成立してしまう。
ひと目で#
ブランドは作れない。作れるのは、そう思われるための接点だけ。
- ブランド
- 受け手の中にある「あそこは、こういうところだ」という記憶と期待
- ブランドアイデンティティ
- 送り手が定める、何者であろうとするか
- ビジュアルアイデンティティ
- 見える部分。ロゴ、色、書体、写真、声
- タグライン
- 名前だけでは伝わらないことを補う一言
- ブランドガイドライン
- 誰が作っても同じになるための規則
使い分け#
| こういうとき | 決めるもの |
|---|---|
| 何者かを言葉にしたい | ブランドアイデンティティ。約束と人格 |
| 見た目を揃えたい | ビジュアルアイデンティティ |
| 社名の隣に短い説明が要る | タグライン |
| 複数の人、複数の媒体で作る | ブランドガイドライン |
| Web の実装に落とす | デザイントークンとコンポーネント |
タグラインの書き方#
言うことは1つに絞ります。何をするか、誰のためか、どう違うかのいずれか1つです。
| 判定 | 例 |
|---|---|
| ✕ 他社に差し替えても成り立つ | 「お客様の未来を、ともに」 |
| ○ 何をするか | 「町の水まわりを、その日のうちに」 |
| ○ 誰のためか | 「はじめて店を持つ人のための会計事務所」 |
間違えやすいところ#
図の中身を文字で読む
- ✕ 接点ごとに見た目と言葉を変える ○ 同じ印を、どの接点でも繰り返す
- 1枚ずつはきれいでも、印象は割れる 反復した数だけ、記憶が濃くなる
- サイト SNS 名刺 サイト SNS 名刺
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- 受け手の中で、別々の3つの店になる 1つの記憶に積み上がり、「あの店だ」と結びつく
- ロゴを作ることをブランディングと呼ぶロゴは接点の1つにすぎない
- 見た目だけ決めて中身を決めない何を言うかが揺れると、見た目が揃っても印象は揃わない
- 抽象的な形容だけを掲げる「誠実」「革新」は、掲げていない会社のほうが少ない
- 媒体ごとに見た目を変える反復が途切れると、積み上がらない
- ガイドラインに禁止事項だけを書く作れない。使ってよい形を先に示す
- 一度決めて更新しない使われない規則は、参照されなくなる
直す例#
架空の案件を1つ例にとります。どこを見て、何をどう直すかを書きます。
例として、工務店のサイトと Instagram とチラシを、外注2社と社長の3者が別々に作っていました。半年後に並べると、サイトは明朝の丁寧語、Instagram は絵文字まじりの軽い言葉、チラシのロゴは印刷所の判断で青に変わっています。1枚ずつはきれいでも、受け手の中では別々の3社です。直すのは各媒体の出来ではなく、足並みのほうです。属性シートを1枚書いて3者全員に同じものを渡し、以後の判断は「シートに合うか」だけに集約します。接点が増えても、シートが1枚なら答えは揺れません。
確認する#
- サイト・SNS・印刷物を並べても、同じ組織だとひと目で分かる
- タグラインの主語を他社に差し替えると、成り立たなくなる
- 迷ったときに全員が開く1枚(属性シート)が決まっている
使えるパターン#
この話が要る場面#
このページが答えになる、現場の困り事です。困り事の側から探すと、同じ場所に着きます。
ロゴ・色・書体・写真・声の5つ。どれか1つが揺れると、他が揃っていても印象は揃わない。
ロゴ・色・書体・写真・声の5つ
何をするか・誰のためか・どう違うかのうち1つだけ言う。他社に差し替えて成立するなら書き直す。
何をするか / 誰のためか / どう違うか の1つだけ
この場面のほかの困り事と、そのまま貼れる部品は見た目を決めるにまとめてある。逆引きには全188件。
属性シートを書く#
5項目を埋めると、下にシートが組み上がります。見本は架空の自家焙煎珈琲店です。空欄にしてから自分の案件で書き直すと、そのまま関係者に渡せる一枚になります。
# ブランド属性シート
何者か: 駅前の商店街で、店主がひとりで焙煎する珈琲店
約束: 焙煎から一週間以内の豆だけを売る
トーン3語: 静か・実直・手仕事
出さないもの: 速さと安さの訴求。流行の言葉。他店との比較
色と書体の方針: 深い焦げ茶の地に琥珀を一点。見出しは明朝、本文はゴシック
接点ごとに答えを変えない。迷ったらこのシートに戻る。
この道具は JavaScript で動きます。無効の場合は、上の見本シートを書き写して使ってください。
出典#
- Alina Wheeler『Designing Brand Identity』
- Nielsen Norman Group「Brand Is Experience in the Digital Age」